山井の完全試合が消えた日は歴史に残る

2007年のプロ野球日本一を決めるシリーズ第五戦で、その試合先発だった山井投手は相手の八回の攻撃をおさえてこの時点で一人の走者も出していませんでした。九回も三人で終わらせれば完全試合達成です。このようなシリーズで完全試合というのは日本のプロ野球の歴史上今までに一度もなく、初めてのチャンスです。球場中も全国のテレビの前のファンもこのままの続投を予想しました。

ところが九回、投手が別の人に交代することが告げられ大変な騒ぎとなりました。次の投手が三人で抑えたため二人での達成となりましたが、山井投手の記録としては完成せず、せっかくのチャンスを奪ってしまうことになりましたので、この交代の是非がその後問題となり、大きく議論されました。

この時交代することになったのは複数の理由がありますが、まず抑えのエースとして絶対的な存在がいたことです。当時のその投手は九回を完璧に抑えてくれますから、もしそういう存在がいなければそのまま続投したと考えられます。

またこの試合は七試合制のシリーズの第五戦で、仮りに今日負けてしまうと残りの二試合が相手の本拠地に移ってのゲームになったことも関係があります。この試合は絶対に負けられないため勝ちを優先し抑えのエースへの交代が選ばれました。

そして現在最も大きな理由とされていますのが、八回終了の段階で山井投手がすでに指の皮がむけていたことです。当時のチームメートもすでに血がにじんでいた状態だったことを証言していまして、これがなければ最後まで投げていた可能性もあります。